地方公務員から利害関係企業に転職できるのか調べてみた。

結論:できそう。

 

地方公務員が転職しようとする場合、地方公務員法(第38条の6)がネック。

 

地方公共団体の講ずる措置)
第三十八条の六 地方公共団体は、国家公務員法退職管理に関する規定の趣旨及び当該地方公共団体の職員の離職後の就職の状況を勘案し、退職管理の適正を確保するために必要と認められる措置を講ずるものとする。

 

退職管理の規定とは国家公務員法で次のように定めている。

 

1.再就職状況の公表(国公法第106条の25第2項)
2.職員が他の職員又は元職員の再就職をあっせんすることの規制(国公法第106条の2第1項)
3.職員が在職中に自らの職務と利害関係のある企業等に求職活動することの規制(国公法第106条の3第1項)

 

1はある程度上の役職の話なので無視すると、転職する際に気を付けるのは3.になる。ただしこれも以下のとおり組織の意思決定の権限を実質的に有しない官職にはあてはまらない模様。

 

国家公務員法

(在職中の求職の規制)
第百六条の三 職員は、利害関係企業等(営利企業等のうち、職員の職務に利害関係を有するものとして政令で定めるもの※1をいう。以下同じ。)に対し、離職後に当該利害関係企業等若しくはその子法人の地位に就くことを目的として、自己に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該地位に就くことを要求し、若しくは約束してはならない。
○2 前項の規定は、次に掲げる場合には適用しない。
一 退職手当通算予定職員(前条第四項に規定する退職手当通算予定職員をいう。以下同じ。)が退職手当通算法人に対して行う場合
二 在職する局等組織(国家行政組織法第七条第一項に規定する官房若しくは局、同法第八条の二に規定する施設等機関その他これらに準ずる国の部局若しくは機関として政令で定めるもの、これらに相当する行政執行法人の組織として政令で定めるもの又は都道府県警察をいう。以下同じ。)の意思決定の権限を実質的に有しない官職として政令で定めるもの※2に就いている職員が行う場合

 

職員の退職管理に関する政令

※1(利害関係企業等)
第四条 法第百六条の三第一項の営利企業等のうち、職員の職務に利害関係を有するものとして政令で定めるものは、職員が職務として携わる次の各号に掲げる事務の区分に応じ、当該各号に定めるものとする。
一 許認可等(行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第三号に規定する許認可等をいう。以下同じ。)をする事務 当該許認可等を受けて事業を行っている営利企業等、当該許認可等の申請をしている営利企業等及び当該許認可等の申請をしようとしていることが明らかである営利企業
二 補助金等(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)第二条第一項に規定する補助金等及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百三十二条の二の規定により都道府県が支出する補助金をいう。以下同じ。)を交付する事務 当該補助金等の交付を受けて当該交付の対象となる事務又は事業を行っている営利企業等、当該補助金等の交付の申請をしている営利企業等及び当該補助金等の交付の申請をしようとしていることが明らかである営利企業
三 立入検査、監査又は監察(法令の規定に基づき行われるものに限る。以下「検査等」という。)をする事務 当該検査等を受けている営利企業等及び当該検査等を受けようとしていることが明らかである営利企業等(当該検査等の方針及び実施計画の作成に関する事務に携わる職員にあっては、当該検査等を受ける営利企業等)
四 不利益処分(行政手続法第二条第四号に規定する不利益処分をいう。以下同じ。)をする事務 当該不利益処分をしようとする場合における当該不利益処分の名宛人となるべき営利企業
五 行政指導(行政手続法第二条第六号に規定する行政指導のうち、法令の規定に基づいてされるものをいう。以下同じ。)をする事務 当該行政指導により現に一定の作為又は不作為を求められている営利企業
六 国、行政執行法人又は都道府県の締結する売買、貸借、請負その他の契約(以下単に「契約」という。)に関する事務 当該契約(電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付として内閣官房令で定めるものを受ける契約を除く。以下この号において同じ。)を締結している営利企業等(職員が締結に携わった契約及び履行に携わっている契約の総額が二千万円未満である場合における当該営利企業等を除く。)、当該契約の申込みをしている営利企業等及び当該契約の申込みをしようとしていることが明らかである営利企業
七 検察官、検察事務官又は司法警察職員が職務として行う場合における犯罪の捜査、公訴の提起若しくは維持又は刑の執行に関する事務 当該犯罪の捜査を受けている被疑者、当該公訴の提起を受けている被告人又は当該刑の執行を受ける者である営利企業

 

ここでいう「組織の意思決定の権限を実質的に有しない官職」については次のとおり、本省課長補佐級以上の職員以外の職員が付いている官職となる。

 

職員の退職管理に関する政令

※2(意思決定の権限を実質的に有しない官職)
第七条 法第百六条の三第二項第二号の意思決定の権限を実質的に有しない官職として政令で定めるものは、国家公務員倫理法(平成十一年法律第百二十九号)第二条第二項各号に掲げる職員以外の職員が就いている官職とする。

 

国家公務員倫理法

(定義等)
第二条 この法律(第二十一条第二項及び第四十二条第一項を除く。)において、「職員」とは、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第二項に規定する一般職に属する国家公務員(委員、顧問若しくは参与の職にある者又は人事院の指定するこれらに準ずる職にある者で常勤を要しないもの(同法第八十一条の五第一項に規定する短時間勤務の官職を占める者を除く。)を除く。)をいう。
2 この法律において、「本省課長補佐級以上の職員」とは、次に掲げる職員をいう。
一 一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号。以下「一般職給与法」という。)の適用を受ける職員であって、次に掲げるもの(ト又はチに掲げるものについては、一般職給与法第十条の二第一項の規定による俸給の特別調整額の支給を受ける者に限る。)
イ 一般職給与法別表第一イ行政職俸給表(一)の職務の級五級以上の職員
ロ 一般職給与法別表第二専門行政職俸給表の職務の級四級以上の職員
ハ 一般職給与法別表第三税務職俸給表の職務の級五級以上の職員
ニ 一般職給与法別表第四イ公安職俸給表(一)の職務の級六級以上の職員
ホ 一般職給与法別表第四ロ公安職俸給表(二)の職務の級五級以上の職員
ヘ 一般職給与法別表第五イ海事職俸給表(一)の職務の級五級以上の職員
ト 一般職給与法別表第六イ教育職俸給表(一)の職務の級三級以上の職員
チ 一般職給与法別表第六ロ教育職俸給表(二)の職務の級三級の職員
リ 一般職給与法別表第七研究職俸給表の職務の級四級以上の職員
ヌ 一般職給与法別表第八イ医療職俸給表(一)の職務の級三級以上の職員
ル 一般職給与法別表第八ロ医療職俸給表(二)の職務の級六級以上の職員
ヲ 一般職給与法別表第八ハ医療職俸給表(三)の職務の級六級以上の職員
ワ 一般職給与法別表第九福祉職俸給表の職務の級五級以上の職員
カ 一般職給与法別表第十専門スタッフ職俸給表の適用を受ける職員
ヨ 一般職給与法別表第十一指定職俸給表の適用を受ける職員
二 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成十二年法律第百二十五号。以下この条において「任期付職員法」という。)第七条第一項に規定する俸給表の適用を受ける職員
三 一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律(平成九年法律第六十五号。以下「任期付研究員法」という。)第六条第一項に規定する俸給表の適用を受ける職員
四 検察官の俸給等に関する法律(昭和二十三年法律第七十六号。以下「検察官俸給法」という。)の適用を受ける職員であって、次に掲げるもの
イ 検事総長次長検事及び検事長
ロ 検察官俸給法別表検事の項十六号の俸給月額以上の俸給を受ける検事
ハ 検察官俸給法別表副検事の項十一号の俸給月額以上の俸給を受ける副検事
五 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人(以下「行政執行法人」という。)の職員であって、その職務と責任が第一号に掲げる職員に相当するものとして当該行政執行法人の長が定めるもの

 

 

 

まとめ

利害関係企業への求職活動であっても課長補佐級の未満の職員であれば問題ない。

 

【参考】在職中の求職の規制の中で、規制されている「自己の情報の提供」について

国家公務員OBを採用しようとお考えの企業・団体の方への資料を確認してみると、名前や職歴の提供がダメってことらしい。

 

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 」から引用